トップメッセージ/ステークホルダーの皆様へ

成長する世界の建設機械市場で確かな存在感を発揮する「真のグローバル企業」へ

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日立建機株式会社 代表執行役 執行役社長
木川 理二郎

中期経営計画「創2010 For the New Stage」の総括(2008年3月期〜2011年3月期)
成長への可能性を秘めた"確かな布石"

今期の業績とその背景について振り返ってください。

まず初めに、このたびの東日本大震災により被災された皆様に、心よりお見舞いを申し上げます。

さて、中国、アジアなど新興国における建設機械需要は引き続き拡大しており、世界全体として増加傾向にあります。こうした市況を背景に2010年度は、売上高7,738億円(前年度比128%)、営業利益415億円(同211%)、経常利益419億円(同219%)、税引後純利益111億円(同276%)という数字を達成し、2009年度比では大きく業績を回復することができました。

なお、東日本大震災では茨城県内の生産拠点5ヵ所および東北地方の販売・サービス・レンタル拠点をはじめグループ会社数社の設備が影響を受けましたが、ステークホルダーの皆様への影響を最小限にするため、関係者全員で復旧に努め、生産に関しては4月中旬には被災前の水準にまで能力を回復させることができました。グループ全社員が無事だったことが、何より幸いでした。

「創2010 For the New Stage」の総括をお願いします。

2008年3月期からはじまった中期経営計画「創2010 For the New Stage」では、建設機械業界のグローバルトップ3の地位の確立をテーマに、売上高1兆円、経常利益1,000億円という目標を掲げました。そしてその目標達成を目指して、新しい基軸製品の確立を図る「ハード(製品)軸」、機械のライフサイクルでの顧客サポートの強化を図る「ソフト(ソリューション)軸」、そして世界各国の市場特性を踏まえたビジネス展開を強化する「地域軸」の3つを基軸とする成長戦略を描いていました。

ところがこの5年間で世界の建設機械市場は"劇的"ともいうべき二つの変化に直面しました。ひとつは2008年に起きた「リーマンショック」。これを機に先進国を中心とした世界の建設機械需要は大幅に減退し、建設機械メーカ各社は生産調整を余儀なくされました。そして、もうひとつの大きな変化は「新興国市場の急成長」です。リーマンショック後、急速な経済発展を背景に中国やインドをはじめとする新興国における建設機械需要が急回復。2008年3月期には5:5だった先進国と新興国の油圧ショベル需要比率は2:8までになりました。このように世界の建設機械需要の量と構造が劇的に変化するなか、日立建機グループは"3つの基軸"をベースとした成長戦略を展開。その結果、計画当初に掲げた数値目標こそ達成できませんでしたが、今後の成長への可能性を秘めた"確かな布石"を打つことができました。たとえば「ハード軸」では、鉱山などの資源採掘(マイニング)向け超大型ダンプトラックのように、次なる基軸製品となりそうな"芽"が出てきました。超大型ショベルとセットで販売し、それに伴うパーツやサービスのビジネスを伸ばしていきたいと思います。また「ソフト軸」では、このマイニング事業において販売後のメンテナンスまで請け負うFMC※1のノウハウも確立しつつあり、これも今後の成長が期待できます。また、建設機械需要の高い中国、アジアにおけるファイナンス事業も強化しています。さらに「地域軸」では、中国やアジアの販売代理店強化、ロシアやインドの販売代理店網の強化、アフリカにおけるマイニングビジネス体制の強化など、それぞれの軸における施策は着実に成果をあげたと考えています。

  • ※1 Full Maintenance Contract。製品販売時、その後の保守点検作業も一括して契約する方式。

新中期経営計画「Go Together 2013」の狙い(2012年3月期〜2014年3月期)
"これまでにない新しい発想"で、経営革新に挑戦

新たな中期経営ビジョン「2020 VISION」と新中期経営計画「Go Together 2013」策定の背景をお聞かせください。

積極的なインフラ投資や活発化する資源開発などを背景に、新興国市場における建設機械および鉱山機械需要は増加し続けています。2011年3月期の世界の油圧ショベルの需要は、ピークだった2008年3月期を既に超えており、そして2012年3月期以降も10〜20%は伸びていくことが見込まれています。

その一方で、環境・エネルギー規制の厳格化や中国・韓国メーカの台頭による競合環境の激化など、事業環境は大きく変化しています。こうしたなか、高まる新興国需要をとらえ、グローバル企業として成長していくには、これまでの延長線上ではない新たな考え方が必要です。そこで、日立建機グループは10年後のありたい姿として「地球上のどこでもKenkijinスピリット※2で身近で頼りになるパートナー」という「2020 VISION」を策定し、これを実現するための3ヵ年事業計画として、2014年3月期を最終年度とする「Go Together 2013」を策定しました。

  • ※2 日立建機グループ従業員共通の価値基準・行動基範。

世界の油圧ショベル需要推移

世界の油圧ショベル需要推移(各年3月期)グラフ

出所:当社調べ

2020年に向けて新たなスタートを切った新中期経営計画の施策の方向性について教えてください。

ひとつは「グローバル経営体制の強化」です。私たちの事業は急速に世界へ拡大し、今や海外事業比率は8割に達しています。そこで、本社機能や地域事業部の役割や責任を見直し、現地社員がその国に合わせたビジネスを展開できる体制へと改革していきます。現地の地域事業部に権限を委譲し、経営トップに現地社員を積極的に登用し、"Kenkijinスピリット"という世界共通の価値観をベースにグローバルガバナンス体制とダイバーシティマネジメントを強化していきます。

この経営基盤改革と併せて進めるのが「ハード&ソフト戦略の強化」「地域戦略の強化」です。世界の建設機械需要は、2014年3月期にはますます拡大すると見込まれており、高まる需要に応えるには製品開発から生産、販売、サービスに至るバリューチェーン体制を今まで以上に強化していくことが重要です。このことから、世界各地域の特性に合わせたハード(製品)の迅速な提供に向けて開発体制をグローバル化する一方で、主要なコンポーネント(基幹部品)は日本で開発・生産し、あとは現地ニーズに合わせてつくるといった柔軟な生産体制づくりを推進するほか、大規模な生産設備投資によって、高まる需要に応えることも計画しています。また、販売・サービスなどソフトの面では、業務を担う各地域の代理店販売支援体制を整備し、製品のライフサイクル全体を長期的にサポートすることでお客様満足を目指す体制づくりに注力します。

グローバル企業のCSR経営
企業としての成長と、地球社会への貢献の両立を目指して

日立建機グループのCSR経営についての考えをお聞かせください。

「機械を進化させて人と作業の関係を変え、生活空間を豊かにしていくこと」「独創的な技術や商品、サービスによってお客様に新しい価値を提供すること」、そして「安定的に利益を維持し、環境との調和、社会貢献、文化活動など広く社会との共生をはかり、良識ある企業市民として行動すること」

――これが日立建機グループが掲げる企業理念です。そして日立建機グループのCSR経営とは、時代とともに変化する事業環境のなかで、この企業理念の実践を通じて、ステークホルダーの皆様への責任を果たし、事業を通じて社会に貢献していくことにほかなりません(下図参照)。

真のグローバル企業を目指す日立建機グループの今後のCSR経営の方向性をお聞かせください。

日立建機グループがきちんと存続していく、そのこと自体が私たちにとっての最大の責務であり社会貢献であると思っています。

そして、今という時代、さらにはこれからの時代を見据えて、私たちが果たすべきCSRには大きく二つの観点があると考えています。

ひとつは、「日本の製造業」として質の高い製品を安定的に供給し続ける責任です。このたびの大震災では、世界経済・産業社会において、優れた技術・製品の供給を通じて日本の製造業が果たす重要な役割があらためて浮き彫りになりました。優れた製品の安定供給は製造業のCSRの基礎です。災害時の事業継続計画(BCP※3)のさらなるレベルアップや取引先との連携したサプライチェーンマネジメントの強化、電力供給事情を踏まえたさらなる省エネルギーの追求など、これからの時代に求められる"モノづくりのあり方"をあらためて考え、ひとつずつかたちにしていきます。

もうひとつの責任は、「グローバル企業」として、新興国市場をはじめ世界が直面するさまざまな社会課題の解決に寄与・貢献していくことです。

こうした世界の社会課題を常に視野に入れ、グローバルな事業を通じて、企業としての成長と持続可能な地球社会づくりへの貢献を両立し、すべてのステークホルダーの皆様の信頼に応えていく真のグローバル企業へと日立建機グループを進化させていきたいと考えています。

  • ※3 Business Continuity Plan。

「真のグローバル企業」を目指す日立建機グループとステークホルダーへの責任

企業ビジョン